キッサコ スペシャルインタビュー

キッサコとコーラスが体験できる“キッサコ合唱部”、
「キッサコ合唱部〜ぼちぼちハモってみませんか?〜」
を4月より開催するキッサコのみなさんに、インタビューをしてきました。キッサコのこと、合唱部を始めようと思ったきっかけなど、たっぷり語っていただきました。
(写真:上松正宗 聞き手:フォイル 竹井正和)


1「キッサコ」は禅の言葉
竹井:キッサコは、どうやって結成されたんですか?
薬師寺:もともと、京都のボーカルスクールに、私と麻生が通っていまして。女性ばっかりの生徒さんのなか、若い男性が私と麻生と、元キッサコメンバーの男性くらいしかいなくて、肩身の狭い思いをしながら、3人で集まって結成したのがキッサコです。それが14年前くらい。
竹井:そこから「なんか作ろかー」ってなったんですか?
薬師寺:もともとは、自分たちの音楽を作るというよりは、R&Bとかが好きで、「BOYS U MEN」とかをカバーしたりしてたんですけど、あるとき自分の曲を書きたいなあ、となりまして。京都で活動しているから、日本語を大切にした楽曲を作っていきたいねって話になったんですよね。それでちょうど音楽を作り始めてたときに、もともとのメンバーの友人に禅居庵副住職の上松さんがいたんです。上松さんのお寺で企画されていたライブに出させていただくことになり、それがキッサコにとって、正式な最初のライブでした。そのライブに出るにあたり、一度お寺のほうに行かせていただいたときに、お寺の掛け軸に「喫茶去(きっさこ)」とありまして。ちょうど「キッサコ」と名付けたばっかりくらいだったような気がするんですが。
竹井:キッサコってどんな意味なんですか?
薬師寺:禅の言葉で、簡単に言いますと、「お茶でも飲みながら、どうぞごゆっくり」という意味です。私が寺に生まれて育ったということがあったので、禅語や仏教用語でいい言葉ないかな、と探してたところでした。ちょうどライブの前くらいに母からFAXが送られてきて、そのなかに「喫茶去」というフレーズがあったんです。「これなんやろ、いいなあ」と、意味が分からないながらも思っていたんですよね。
もともと自分もお寺生まれなんですけど、お寺でライブをするっていう感覚がまったくなくって。絶対それはありえないと思っていたことを普通にされていたので、「ありなんや、お寺ってこういうもんなんや」と教えてもらいました。それからキッサコは、お寺ライブを活動の軸にさせていただいています。

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竹井:自分のお寺でもライブされているんですか?
薬師寺:昨年修行が終わって、戻ってきたときにはじめてさせて頂きました。4月にも開催予定です。
竹井:お寺でやるのと、ふつうの会場でやるのって、やっぱり違うんですか?
薬師寺:まず、音がぜんぜん違いますね。木造なので、ライブハウスとは全然ちがう、木の特有のあたたかみがあります。
座布団に座って聴いていただいたりするので、お客さんとの距離も近かったりしますね。どのお寺も、どこか凛としてるけど、アットホームな不思議な、独特の雰囲気がある。自分がお寺に育ったということもあるけれど、そういったところが好きだなあ、と思います。
竹井:お寺だと、親近感を感じますよね。距離が近いし。
薬師寺:もともと、お寺って人の集まる場所だったり、役所的なところだったりするので、本来の意味に立ち返ってるのかな、という気がします。お寺でのライブ活動はこれからも続けていけたらと思います。


ショッピングモールで漂流してくれる喜び
竹井:ライブは年に何回くらいするんですか?
薬師寺:年間100本くらい、だいたい週末に開催しています。ショッピングモールでフリーライブをしたりもします。
竹井:お寺とショッピングモールの違いってどんなところですか?
麻生:ショッピングモールは不特定多数の方へ向けてになるので、いろんな用事があるなかで、自分たちの音楽を聴いて立ち止まってくださるっていうのが、漂流している人が無人島にたどりつくみたいな感じなんですよね(笑)。
薬師寺:深いこと言うなー(笑)。
麻生:漂っているなか、止まってもらえるのってすごい嬉しくって。
山元:初めて見てもらう方に歌っているような感覚はありますよね。
薬師寺:ショッピングモールにはいろんな方がいらして、50-60代の方もいらっしゃいます。キッサコが歌っているテーマのひとつの《家族》も、ショッピングモールにマッチしているかもしれません。めずらしいですよね(笑)。「息子が大学で離れているから送ります」ってCD買ってくれる人もいます。

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竹井:誰が何を担当とか、役割分担はあるんですか?
薬師寺:詞はそれぞれみんな作りますが、私が書く場合が多いです。メロディも、だいたいそれぞれが詞と曲を作り上げて来て、その人が作った曲はその人がプロデューサーという感覚ですね。
竹井:それぞれアレンジしたりもするんですか?
薬師寺:私と麻生は、打ち込みまでやるので、ほぼ完璧な状態で作り上げてきます。とくに麻生くんとか作り上げてくるよね。
麻生:作り込んできたものに対して、ほんの少し味付けするのがめちゃくちゃ楽しいんですよね。他の楽器が伸びてるから、スタッカート入れようとか、細かい作業がパズルみたいで楽しいです。
薬師寺:コーラスが入ると、歌が生まれ変わるような気がします。デモのときは一人で歌ってるんですけど、なんかつまらないんですよね。で、二人に歌ってもらうと、イメージがぱっと変わったりします。色んな人の声が交じると、やっぱりエネルギーがあるなと思いますね。それがいちばん楽しくてやっているかもしれません。
竹井:みんなでお経を唱えているみたいな感じかな。
薬師寺:そうですね(笑)。お経もみんなでキーをあわせて、リードとったりしますしね。私も和尚である父のキーに合わせないと気持ち悪いんですよね。父が意外とキーが高くて(笑)。後半疲れてきよるですんよね。もっと低くしといたらええのにって(笑)。


キッサコと、「キッサコ合唱部」
竹井:今回、合唱部が始まるわけですが、歌を教えるのは初めてですか?
薬師寺:愛媛では、個人でマンツーマンみたいな感じで教えています。
麻生:僕は初めてですね。
竹井:なんで合唱部をはじめようと思ったんですか?
麻生:さっき話に出た、薬師寺くんと出会ったのは、渡辺大之進さんというソウル・シンガーが開いていたゴスペル・スクールだったんですよね。そこで、「BOYS U MEN」とか「天使にラブソングを」とかを歌っていました。高校時代から漠然とコーラスグループをやりたいな、と思ってたんです。主に歌うのは英語だったので、日本語でという発想がなかったのですが、ゴスペラーズさんとかが出始めたりもしたりもして。キッサコを始めてからは、より日本語の音を大切にするようになったんですね。(英語から日本語になって)音楽性がガーっと変わったなかで、日本語で男性3パートで歌ってやってみると、思いのほか自分たちではしっくり来たんですよね。ゴスペルでも味わえなかった喜びがあったので、自分たちだけじゃなくて、みなさんと一緒に体感できる場が欲しいなってずっと思ってたんです。

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山元:以前から、ボーカルレッスンはしてみたいという話をしていたんですよね。
竹井:人によっては、「私が習いに行っていいのかな」と思ったりするかもしれませんが、「キッサコ合唱部」は素人さんでも大丈夫な感じなんでしょうか。
薬師寺:どちらかというと初心者に気軽に来てもらって、まず声を出すところから始めて、一緒に楽しんでもらえたら何よりですよね。ライブに来て下さるお客さんが、「普段声を出す場所がなくって」と言っていて。カラオケとかではなく、歌を歌いたいこともあるでしょうし、そういう方ってきっといらっしゃると思うんですよね。中学校の合唱のときに、荒井由実さんを3パートに分けて歌うのが楽しいな、と思ったんですよね。
麻生:「♪春のうららの〜」とかも、上のパートと下のパートで、メロディが違っていて、面白いですよね。ただなぞるだけじゃなくても、あまり難しく聴こえず、美しい。昔の人って、なんて美しい感覚をしてるんやろうって、あらためて思いました。
薬師寺:あのラインって、合唱じゃないときれいに聴こえないんですよね。3人だけで3パートをそれぞれ歌うと、どうしても合唱ではないハモり方になるんですよね。合唱て、下のラインもちゃんとしたメロディになっていて、主なメロディとちがう動き方をしているけど、単体で聴いても美しいし、主メロと一緒に聴いても美しいという、独特なハーモニーですよね。それは、3人だけではできないことでもあると思います。
麻生:ひとつのラインが渾然一体となってるからこそ、表現できるラインかもしれません。
山元:僕も、キッサコ入る前までは、ソロで弾き語りをしていて、そういうコーラスとかしたことなかったかもしれないですね。高校時代、僕キッサコにめっちゃ入りたくって。あこがれでした。ライブに通って、軽く手伝いをさせてもらって、東京に行かはる前の前座のライブに出させてもらったりしました。初めてコーラスさせてもらって、むずかしいというのはありますけど、やってて楽しいですね。そういうのを、他の方にも味わってもらえたらええなあ、と思いますね。




ハモる楽しさを一緒に体感できたら

竹井:3人でやってて、むずかしいなあ、と思うことはありますか?
山元:それぞれ歌い方が違うんですよね。たとえば、薬師寺が歌っているときは薬師寺になりきりながら重ねないといけないし、そういうのがむずかしいな、と思ったりします。いい意味で、それぞれ歌い方にクセがあったりするから。でも、ばちっとあったときが気持ちいいんですよね。
薬師寺:ピッチがきれいになったときに、やってて気持ちがいいんですよね。
山元:逆に、体や心が弱ってるときも歌うとわかったりしますしね(笑)。
竹井:そういう楽しさもあるよね。声出すだけでも面白いやろうし。

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薬師寺:お客さんは、ちょっとしたズレとか、気付いてるよね(笑)。
麻生:ライブって、生ものなので、毎回変わるから、どっちにしようかなって迷うこともあります。僕も、客として他のミュージシャンのライブを聴いていると、「ああそう崩すんや、一緒に歌えないな」って思うときもあるし。スピーカーのように正確に聴きたい人もいるだろうけど、変えたくなるときもあったりもしますね。
竹井:それって、その雰囲気で決めていくしかないですよね。
薬師寺:お客さんがどんな雰囲気かによって、変えていく感じはありますね。ストリートやショッピングモールでのライブだと、「なんか違うな」って思ったら、急に曲を変更したりしますね。すべて会話のような気がします。
山元:ライブのあの空間は、生き物ですよね。
薬師寺:コミュニケーションなのかなって思いますね。コーラスって、合わせることがいちばん大事なんですが、会話のように聴き上手になるっていうか、話を合わせて相手を引き出したりする感覚と近いかもしれないですね。「今日は山元こんな感じやから、こっちはこうやって声入れて行こう」みたいに、お互い気を遣って行くと、お互いいいハーモニーが生まれてきますよね。
山元:ずっとやっていると、わかってくることもありますしね。
薬師寺:どんだけ気付けてあげてるか、みたいな。
竹井:メンバー同士、仲良さそうですよね。
薬師寺:仲いいほうかもしれないですね。
山元:こういうときはこう思ってるやろなってわかってきますね。
竹井:家族みたいなもんですよね。
麻生:薬師寺と僕は一緒に数年住んでましたしね(笑)。同じ息を吸っていました。
竹井:今度習いに来る人たち同士で、ゆくゆくは「一緒になんかやろうよ」とかもあるかもしれないですね。
麻生:そうなってくれたらめちゃめちゃ嬉しいですね。いちばん理想かも。ライブでも、お客さん同士がつながってくれるのがいちばん嬉しいんですよね。
山元:キッサコ合唱部がきっかけになって、歌を始めてくれはったりしたら、嬉しいですよね。
薬師寺:自分たちのライブで一緒に歌う機会も、今回が軌道に乗ったら企画したいな、と思います。
竹井:素人さんやった人が、ちょっと上手くなっていって、キッサコと一緒に歌えるって、いいですよね。生徒のみなさんが、訓練しつつ、楽しんでくれたらええよね。
薬師寺:そうですね、努力のあとにある充実感っていうのも感じてもらえたら嬉しいですよね。
竹井:音楽って、音が楽しいって書くものだし。
薬師寺:自分が音を出すことで、楽しいと感じてもらえたら。
竹井:今回は、音楽を勉強してなくっても楽しみたい、という人とかにも来てもらってオッケーな感じなんですよね?
薬師寺:そうですね、家のお風呂で歌ってる延長線上くらいの気持ちで(笑)。楽譜読めなくても大丈夫です。
竹井:ハモる楽しさって、どんなところでしょう。
麻生:一緒に歌う人がいる喜びって、カラオケでは味わえないことですよね。自分が学生時代に合唱したときや、ゴスペルやったりしたときの喜びっていうのは、一人でソロで歌うのとは全然違うんですよね。人と声を合わせて同調させてひとつのものを作り上げて行く喜びは、一人では味わえない達成感だと思います。歌ってて楽しいと思う人は、「キッサコ合唱部」でぜひ一緒にそれを体感しましょう、一緒に共有しましょう、という感じです。みんなで一緒に発信できたら嬉しいですよね。
竹井:最終的に、キッサコのみんなと合唱部のメンバーが、どこかでライブできるようになったらいいですよね。
山元:めちゃくちゃ上手い人出て来て、メンバー変わったらどうしよう(笑)。


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キッサコ
麻生優作(Vo&Piano/中) 山元サトシ(Vo&AG/右) 薬師寺寛邦(Vo&AG/左)

僧侶がいる、男3人組のフォークボーカルユニット。
2003年京都で結成。2007年、YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONSより「拝啓 君へ」でメジャーデビュー。
グループ名の由来は、"お茶でもどうぞ"の意味を持つ禅語「喫茶去」から。
メンバー薬師寺の仏門修行のため、2010年をもって活動休止していたが、2013年より、自身のレーベルとともに活動再開。
また、故郷の未来を考えるチャリティプロジェクト、「ふるまも」を立ち上げ、2013年・14年の11月に京都市円山公園音楽堂でキッサコ単独のチャリティコンサートを行う。
また2014年12月には、4年ぶりの3rdフルアルバム「伝言板」を発売。
お寺ライブを活動の軸とし、全国で精力的に活動中。
3人の織りなす、優しく強く広がるハーモニーが、心のどこかで置き去りになった、あなたの大切なものを思い出させてくれるであろう。


キッサコ合唱部 〜ぼちぼちハモってみませんか?〜


 




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